研究概要 |
1.日本人とCaucasianでのタウ遺伝子型の頻度の違いとFTDP-17 P301L変異. パーキンソニズム主徴症例のタウ遺伝子型は2か所で野生型と遺伝子型を異にしT/T(エクソン6)とA/A(エクソン10上流)であった.後者は今回申請者が初めて報告した多型に基づく遺伝子型である.臨床型の違いを規定する因子がタウ遺伝子自身に存在するならそのいずれかが有力候補である.エクソン10上流A/Aの遺伝子型の頻度を調べたところ日本人群(124例)では19%であるが,Caucasian群(164例)は0%であり,欧米でパーキンソニズム主徴P301L変異症例がほとんどないことの説明たりうる. 2.PARK2における偽常染色体優性遺伝 2世代10人発症の2家系でハプロタイプ及び定量的パーキン遺伝子解析をおこなった.6q25,2-27に連鎖するとして矛盾がなく,それぞれエクソン3,エクソン5のホモ欠失が確認された.両家系とも発症者とヘテロ保因者との結婚であった.PARK2の多くの症例は成人発症で緩徐な進行ゆえ結婚し子に恵まれることも多い.両家系が永く地理的に隔離された地域に住まわってきたことも偽常染色体優性遺伝形式が現れた要因の1つである. 3.劣性遺伝性家族性パーキンソニズム家系でのPARK6 Locusのハプロタイプ解析常染色体劣性遺伝形式が否定できずPARK2遺伝子座(6q25.2-27)に連鎖しない8家系の家族性パーキンソニズムで,2つ目の常染色体劣性遺伝性家族性パーキンソニズム(PARK6)遺伝子座1p35-36についてハプロタイプ解析をおこなった.5家系はPARK6との連鎖が否定されたが,3家系は同遺伝子座に連鎖するとして矛盾せず,データの解析はmappingの絞り込みに資するものと考える.
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