胸腺筋様細胞は脊椎動物の発生初期から出現し、ヒトでは重症筋無力症との関連が示唆されてきた細胞であるところから、我々はこれらの細胞は生理的に重要な機能をもつ細胞と考え、ラットからクローン化し、多種のサイトカインとともに新規80-kDa、100-kDa造血因子をも産生していることを見いだした。大量培養により、アミノ酸配列決定し、両者とも新規な造血因子であることを確認した。両因子はこれまでのところほとんど同一細胞により、同時に産生されることが判明している。胸腺では筋様細胞から、脳では免疫組織化学法により、神経細胞やグリアから産生されていることが判明した。特に、ヒト重症筋無力症者胸腺では筋様細胞の異常増加が認められ、原因抗原であるアセチルコリンレセプターと同時に多量の二因子を過剰に産生し、これが胸腺での、抗アセチルコリンレセプター抗体産生B-細胞の特異的増加の一因になっていることをつきとめ、重症筋無力症における胸腺摘出の有効性が論理的にはじめて証明できた。一方、脳内での、両因子の作用を調べるため、これまで、ラット、ヒトの神経系の細胞を使い、両因子をこれらの培養系から直接精製し脳内細胞への作用を調べたところ、ミクログリアの増殖因子として、既存のマクロファージコロニー刺激因子やグラニュロサイト・マクロファージコロニー刺激因子などとともに作用する事も判明した。従って、両因子はマクロファージ系細胞に多様性を起こす分化増殖因子であると考えられる。さらに当該二因子は神経細胞のMAPKの活性を高め、神経の生存や生理機能にとっても、重要な因子であることが判明した。この様に新規二因子は他のサイトカインと同様多機能性があり、今後様々な機能が見いだされることが期待される。さらに我々はリコンビナント製品を得ることに成功し、量産化と具体的な
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