Growth arresst and DNA damage inducible gene(GADD)153は種々のストレス、特に小胞体に対するストレスに応じて発現・誘導され、細胞周期を停止させ、アポトーシスに関与していることが知られている。昨年度は、血管平滑筋細胞において、過酸化水素などの酸化ストレスに対してGADD153遺伝子が発現誘導され、その発現誘導は、核内転写因子NF1によって抑制されることを報告した(Biochem Biophy Res Commun290:1255-1259、2002)。本研究ではさらGADD153のVSMCにおける働きをin vivoにおいて明らかにする目的で、平滑筋特異的プロモータを利用したトランスジェニックラットの作製を開始した。現在までに72匹のラットが誕生した。導入遺伝子の確認は、PCR法を用い、72匹中4匹に遺伝子導入が確認された。現在F1およびF2ラットの作製後、遺伝子発現量をノーザンブッロト法、蛋白発現量の解析をウエスタンプロット法により解析している。そして既に2系統において解析が終了したが、その遺伝子発現は極めて低く、wild typeラットとその発現に大きな差を認めなかった。現在さらに残りの2系統に関して、解析を進めているところである。
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