血圧のヒト冠動脈硬化促進機序における酸化ストレスの役割

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13670739
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 安成 憲一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90231646)
• キーワード: 酸化ストレス / 血管平滑筋細胞 / 高血圧 / アンジオテンシンII / 危険因子 / 高血糖 / 動脈硬化 / 白血球

研究概要

冠危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙など)が動脈硬化を促進する機序には、種々のものが考えられる。我々は、既に高血糖が培養ヒト冠動脈血管平滑筋細胞の酸化ストレスを上昇させること(Yasunari K et al.Hypertension,2000)、高脂血症が培養ヒト冠動脈血管平滑筋細胞の酸化ストレスを上昇させることを報告してきた(Yasunari K et al.Arterioscler Thromb Vasc Biol,2001)。今回我々は、血管平滑筋細胞のフラスコにHeガスを加えることでフラスコ内の酸素分圧を変えることなくフラスコ内を増加させることで、圧が平滑筋細胞内の酸化ストレスを上昇させること(Yasunari K et al.Hypertension,2002)、更にロサルタンやカルベジロールなど抗酸化作用を有する降圧薬がその酸化ストレス上昇を抑制すること(Yasunari K et al.Hypertens Res,2002)を示した。更に我々はヒト好中球と単球の酸化ストレスに着目し、高血圧と酸化ストレスの関係ついて検討した。その結果平均血圧とヘモグロビンA_1cは、好中球の酸化ストレスと相関することが明らかになった。(Yasuhari K et al.Hypertension,2002)。これらの結果をふまえて、実際にヒトにおいて種々の降圧薬がin vivoの酸化ストレスを抑制することができるかどうか?増加した白血球の酸化ストレスは心血管事故の危険因子となりうるのかどうか?について今後検討していく予定である。

研究成果

• [文献書誌] K.Yasunari, K.Maeda, M.Minami, J.Yoshikawa: "HMG-CoA reductase inhibitors prevent migration of human coronary smooth muscle cells through suppression of increase in oxidative stress"Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. 21. 937-942 (2001)
• [文献書誌] K.Yasunari, K.Maeda, M.Nakamura, J.Yoshikawa: "Pressure promotes angiotensin II-mediated migration of human coronary smooth muscle cells through increase in oxidative stress"Hypertension. 39[part 2]. 433-437 (2002)
• [文献書誌] K.Yasunari, K.Maeda, M.Nakamura, J.Yoshikawa: "Carvedilol inhibits pressure-induced increase in oxidative stress in coronary smooth muscle cells"Hypertension Research. (in press). (2002)
• [文献書誌] K.Yasunari, K.Maeda, M.Nakamura, J.Yoshikawa: "Oxidative stress in leukocytes is a possible link between blood pressure, blood glucose, and C-reacting protein"Hypertension. (in press). (2002)
• [文献書誌] 安成憲一: "糖尿病血管合併症における酸化ストレスの役割"循環器科. 50. 237-242 (2001)
• [文献書誌] 安成憲一: "ドパミンのドパミン-1レセプターを介する抗動脈硬化作用"精神神経・血液医薬研究振興財団 活動報告. No2. 69 (2001)