研究概要 |
我々は、血管平滑筋細胞のフラスコにHeガスを加えることでフラスコ内の酸素分圧を変えることなくフラスコ内を増加させることで、圧が平滑筋細胞内の酸化ストレスを上昇させること(文献1)、更にロサルタンやカルベジロールなど抗酸化作用を有する降圧薬がその酸化ストレス上昇を抑制すること(Yasunari K et al. Hypertens Res,2002)を示した。更に我々はヒト好中球と単球の酸化ストレスに着目し、高血圧と酸化ストレスの関係について検討した。その結果平均血圧とヘモグロビンA_<1C>は、好中球の酸化ストレスと相関することが明らかになった(文献2)。このようなIn vitroで示された状態がIn vivoにおいても認められるかどうかについて高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて検討を行った。SHRの好中球の酸化ストレスは、その対照ラット(WKY)に比べて上昇していた。また、その上昇にはCキナーゼとNADPHオキシターゼが関与することが明らかになった(文献3)。ヒトにおいてもβ遮断薬であるカルベジロールが高血圧患者の白血球酸化ストレスを有無に減少させることを証明した。このカルベジロールの白血球酸化ストレス低下作用は単に降圧によるもののみではなく、カルベジロール自身の持つ抗酸化作用の関与があると考えられた(文献4)。また心肥大のある高血圧患者においてアンジオテンシンIIレセプター阻害薬であるバルサルタンは、白血球特に単球の酸化ストレスを低下させることが明らかになった(文献5)。
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