研究概要 |
Nicorandilは、ATP依存性K channelの臨床的開口薬として知られているが、その詳細は解明されていない。一方、ミトコンドリアATP-sensitive K channelの開口によりミトコンドリアが脱分極して、ミトコンドリア内へのCa^<2+>過剰流入を抑制することが報告されつつある。われわれは、ATP依存性K channelの臨床的開口薬であるNicorandilでも、ミトコンドリア内へのCa^<2+>過剰流入を抑制するかを検討した。 方法 ラット(SD)成獣心から単離した心室筋細胞にミトコンドリア内Ca^<2+>の選択的蛍光指示薬rhod-2をloadingし、ニポウ式共焦点顕微鏡で観察、Baseline(添加前)の蛍光に対する%変化で数値化した。ミトコンドリア内Ca^<2+>過負荷は、1mM Ouabainで作成した。 結果 1mM Ouabainにより、単離心室筋細胞のミトコンドリア内Ca^<2+>は、有意に増加した(15min 130±3%,30min 172±3% of baseline)。Nicorandil(100μM)もouabainによるミトコンドリア内Ca^<2+>上昇を抑制した(15min 114±4%,30min 121±5% of baseline)。このnicorandilの作用は、5HDで阻害された(15min 147±3%,30min 121±3% of baseline)。 結語 Nicorandilは、ミトコンドリアATP-sensitive K channelの開口を介してミトコンドリア内Ca^<2+>の過負荷を抑制した。ミトコンドリア内Ca^<2+>過負荷抑制がNicorandilの薬理学的虚血耐性の機序の一因と示唆された。
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