研究概要 |
ヒトではHolter型24時間心電図検査で著しい異常がなくても電気生理学的検査において、不整脈が誘発されたり、表面心電図ではみつけられなかった異常を検出することがある。そこで平成13年度においては、マウスの生体で不整脈が誘発され易いかどうかに関して、電気生理学的検査法によって検討するための、最適化のための予備実験を行った。25匹のICRマウスを使い、麻酔法と表面心電図計測の最適化を行った。麻酔に関しては、変時的作用のない薬剤を選択するようにした。 その結果、ketamine 0.04mg/gとpentobarbital 0.04mg/gの混合液を腹腔内注射することによって、問題となる呼吸抑制や心拍数抑制がなく、10-15分間の安定した麻酔を行うことができた。人工呼吸の併用によって、麻酔時間の延長をみた。その後、半覚醒時に1/2-2/3量の追加投与によって、同程度の麻酔時間の延長が可能であった。この麻酔によって、平均550bpmとマウスの生理的心拍数に近い心拍数を得ることができた。表面心電図は四肢誘導では25ゲージ針を直接筋肉内に留置するようにし、胸部誘導は剃毛後、25ゲージ針をV1,V5領域に留置した。この方法で四肢誘導は解析可能な明瞭な波形を得られたが、胸部誘導はnoiseが多く、さらなる工夫が必要と考えられた。表面心電図からは正常マウスのPQ時間は平均32msec、QRS間隔は20msec、QT時間は56msecであった。さらに電気生理学的検査を実施するための設備備品を整えた。内径0.7mmの8極の電極を外頚静脈から、マウス心腔内に挿入し、心腔内心電図の記録を試みた。機器の動作が問題なく作動することを確認し、現在実験手技の熟練を図りつつ、予備データを集積している段階である。
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