平成14年度前半においては、コントロールマウスを使って、埋込み可能な小型テレメトリー電極とその受信装置を使い、無麻酔下でのマウスの心電図波形を3-7日間連続し、間欠的に記録した。これによって、侵襲的な影響を取り除き、生理的な状態での不整脈の誘発性を検討するための実験の最適化を確認することができた。また、平成13年度において、最適化を図ったマウス電気生理学的検査において、実際にホスホランバンノックアウトマウスと野生型マウスを使い、ホスホランバンノックアウトマウスで不整脈が誘発され易いか、否かを検討した。現時点(2003年3月14日)で、ホスホランバンノックアウトマウス3匹、野生型マウス3匹の検査を行った。無麻酔下、自発行動中の、ホスホランバンノックアウトマウスにおいて、心拍数は、野生型に比べ、やや多いものの、有意差はなく、また、不整脈が誘発されやすい、という結果も得られていない。結論を得るには、さらに検査数を増加する必要があるものの、心筋筋小胞体機能の亢進には、催不整脈作用があるとは考えにくい。以上の結果は、心筋筋小胞体機能を亢進させる心不全治療の安全性を示すものと考えられた。
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