研究課題/領域番号 |
13670751
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小倉 敏嗣 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10329378)
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研究分担者 |
今西 愿 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (90108689)
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キーワード | Aquaporin水チャネル / 水透過係数 / 膜輸送 / 細胞容積調節 / 浸透圧 / 心筋 / イオン・チャネル / ナトリウム・ポンプ |
研究概要 |
細胞内外の浸透圧差に起因する水の流入・流出は細胞容積の変動をもたらす。この水透過には膜脂質2重層並びに膜poreという2つの経路が関与するが、腎尿細管・赤血球・水晶体など高い水透過性を有する組織では膜poreが通過経路の主体を成すと考えられており、水分子を選択的に通過させるチャネル構造を持つ膜蛋白aquaporinの役割が注目されている。しかし心筋細胞膜の水輸送機転は未だ明らかではない。我々は外液浸透圧の変動にともなう容積変化からラット並びにモルモット心室筋細胞の浸透圧特性と水透過係数(Lp)を検討し、以下の新知見を得た。 1.外液浸透圧の低下/上昇(正常値300mOsmの0.5〜4倍)に伴い細胞容積は可逆的に増大/減少し約2分で定常値に達した。この容積変化は浸透圧依存性であり、直線状のvan't Hoff関係を呈した。 2.心筋細胞膜のLpは約1.8×10^<-10>l・N^<-1>・s^<-1>と低く(腎尿細管・赤血球の1/10〜1/20)、アレニウス活性化エネルギーは約3.7kcal・mol^<-1>(11〜35℃間)であった。 3.SH基酸化剤であるHg^<2+>(0.1mM)は低浸透下での細胞容積増大を約60%軽減させるとともに、Lpを約80%低下させた。SH基還元剤DTT(10mM)はHg^<2+>の作用に拮抗した。 4.細胞容積感受性イオントランスポーターの阻害剤であるGd^<3+>(30μM)、DIDS(1mM)、ouabain(10μM)は低浸透下での細胞容積変化を軽減(Gd^<3+>)あるいは増大(DIDS、ouabain)させた。しかしLpはこれらの薬剤に影響を受けなかった。 5.心筋細胞膜のLpは低く、脂質2重層の水透過係数に近い。しかし水分子の自由拡散と同等の活性化エネルギーを呈し、Hg^<2+>/DTTに影響された事は水透過経路の主体がaquaporin水チャネルである可能性を示す。
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