レニン-アンジオテンシンII(AngII)は心筋虚血後の組織再構築に深く関与し、ACE阻害薬によるAngII作用抑制は心保護作用を持つことがよく知られている。しかしながら、ACE阻害薬の虚血部血管新生への影響に関しては一定の結論は出ておらず、心筋虚血後の側副血行路形成など血管新生へのAngIIの作用は不明な点が多い。最近はVEGF・bFGF遺伝子や骨髄細胞移植による血管再生医療が注目されており、これらの治療実施時でのAngII依存性血管新生を検討することは非常に重要であった。 AngIIにはAT1Rと拮抗するシグナルを有するAT2Rが存在し、冠動脈内皮にはAT1Rに加えAT2Rが高率に存在する。AT2Rが血管内皮NOを遊離させること、VEGF血管新生にはNOが必須であること、AT1R拮抗薬の投与時には選択的にAT2Rが刺激されること、心筋虚血・心不全治療にAT1R拮抗薬やACE阻害薬が使用されること、AT1RはHeparin-binding EGFを介してVEGF産生を亢進させることなどを見いだした。 血管新生は再生医療のなかでも最も発展した分野であり、これらの基礎研究・臨床試験は2年間にわたり科学研究費を援助していただいたことにより達成いたしました。ここに深く謝意を表すものであります。
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