研究概要 |
動脈硬化発症にはマクロファージが血管内皮下に遊走しそこでサイトカインを産生することが必須であるが、その分子メカニズムは未だ不明の点が多い。方我々は非受容体型チロシンキナーゼPYK2のノックアウトマウスを作成しそのマウス由来のマクロファージが遊走機能及ぴサイトカイン産生機能に障害があることをみいだしていた。そこで今回の研究にて動脈硬化モデルマウスであるApoEノックアウトマウスとPYK2のダブルノックアウトマウスを作成し、マクロファージの機能欠損下において動脈硬化病変がいかに修飾されるかを検討した。 2か月の高脂肪食下においてApoEノックアウトマウスは大動脈弓部において脂肪染色にて血管内膜において粥状硬化病変を示したが、ダブルノックアウトマウスにおいてはその病変の程度はあきらかに軽度であった。またダブルノックアウトマウスにおいて免疫組織化学上、浸潤マクロファージの数は半数以下、および浸潤T細胞の数も減少していた。 更に血管内皮細胞上の接着因子VCAM-1、ICAM-1の発現や、病巣でのMMP9の発現も減少していた。その上、病巣でのVEGF, IL-1β, TNFαの発現も、RT-PCR法にてダブルノックアウトマウスにおいて顕著に低下していた。 以上より動脈硬化発症には、マクロファージの正常な機能が必須であり、さらにその機能発現には、チロシンキナーゼPYK2が必須であることがわかった。現在、以上の結果を投稿準備中である。
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