研究概要 |
上頚交神経節交感神経細胞およびそれが分布する中大脳動脈平筋におけるmint1の発現分布と比較するためにまず中枢神経系における分布を詳細に解析した。in situ hybridization法および免疫組織化学法によりmintl1olfactory bulb, cingulate cortex, piriform cortex, entorhinal cortex, hippocampus, thalamus, hypothalamus, substantia nigra, locus ceruleusにおいて特に強い発現が見られた。特にhippocampusではdentate gyrus distal molecular layersおよびmossy fiberが強く染色された。Mint1に比べるとmint2はより広範な領域に発現する傾向が見られたがthalamusやhippocampusなど一部の領域ではmint1とmint2はちょうど相補的な分布を示した。また、両者の発現領域は側頭葉、大脳辺縁系を初めアルツハイマー病で特に犯されやすい領域とよく一致していた。免疫電顕法により神経細胞内局在を調べたところ、mint1は前シナプス終末、特に細胞膜中の"active zone"に極めて強く集積し、SV表面にも弱く認められた。またごく一部のシナプスでは後シナプス終末の"postsynaptic dendity (PSD)"に局在した。Active zoneに特異的に集積するタンパク質はこれまでほとんど知られておらず、mint1はneurexin/neuroligin interactionとmunc18-1/syntaxin1 interactionを繋ぎ機能的シナプス形成のinitial hallmarkであるSVのactive zone近傍への集結に重要な役割を演じているかもしれない。これらの中枢神経系における局在情報を基礎にして上頚交神経節交感神経細胞およびそれが分布する中大脳動脈平滑筋における発現分布を現在詳細に解析中である。 Deletion mutantsを用いた解析からmint3がPTBおよびPDZb domains依存的にGolgi complexおよびsecretory vesicle以降のlate compartment, plasma membrane, (and endosomal pathway?)に局在することが明らかになった。しかも、EGFP-mint3/PTB, EGFP-mint3/PDZb, APP (amyloid precursor protein)の3者が同一のsecretory vesiclesおよびmembrane domainsに局在した。この結果はAPPと共存する他の細胞膜タンパク質がPDZb domainにより認識されこれらがsecretory vesicle上でタンパク質複合体を形成しながら細胞膜まで輸送されるモデルを示唆する。そこで我々は作業仮説としてmint/APP/Protein "X" complexを仮定しprotein "X"を検索中である。
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