研究分担者 |
望月 精一 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (60259596)
松本 健志 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (30249560)
後藤 真己 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 教授 (50148699)
梶谷 文彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70029114)
立花 博之 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助手 (00241216)
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研究概要 |
【目的】心臓におけるリンパ管輸送障害は心筋浮腫形成を招き,そのdynamicsの解析は病態生理学的に重要である。本研究では独自に開発したCCD生体顕微鏡を用いて,心拍動下における心外膜側リンパ管を可視化し,リンパ管の形態および管径の拍動特性さらにリンパ流速波形を直接観察評価した。【方法】27ゲージ注射針にてIndia ink(0.05ml)を左室心筋内に注入し心臓リンパ管を造影した後,ニードル型CCD生体顕微鏡(30コマ/秒)を造影部位にアクセスしリンパ管の形態と管径の拍動特性を観察した。リンパ流速波形の観測には超音波診断用造影剤(Levovist)の白色懸濁液を左室心筋表層に注入し,high speed CCD生体顕微鏡(200コマ/秒)を用い評価した。【結果】India inkは心筋組織内注入後,1〜数心周期以内に速やかに毛細リンパ管内に流入した。その後,冠状リンパ管に移動したが,その速度はsubminオーダと比較的遅かった。心外膜側リンパ管には多くの弁が観察され,それは収縮時に開口した。また心周期におけるリンパ管径変動は一定の傾向がみられなかった。high speed CCD生体顕微鏡とmicrobubbleによって可視化して評価したリンパ流速波形は,収縮早期に立ち上がり,中には心拡張末期に逆流を示す特徴的拍動パターンを示した。【考察】心拍動下でリンパ管ネットワークと弁構造を明瞭に観察する事ができた。また,心周期におけるリンパ管径の拍動変化は不均一性が高く,それには,局所因子の関与が大きいことが推測された。リンパ流速波形は,収縮期優位でかつ心拡張末期に逆流を示した。これらの観察より,リンパ液輸送特性は,心収縮による組織圧の上昇や局所心筋の変形,また弁や静脈系へ注ぎ込む流出路圧抵抗などの影響を受け、リンパ液のsqueezingが緩やかに行われていると推論された。
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