研究概要 |
成人期に発症するシトルリン血症II型(adult-onset citrullincemia type II, CTLN2)は,近年遺伝子(SLC25A13)診断が可能となったが,新生児肝炎を呈する症例の一部にこの遺伝子異常が認められることが見いだされた.本研究により遺伝子診断し得た症例をもとにその臨床像が明らかになってきており,このような症例をneonatal intrahepatic cholestasis caused by citrin deficiency(NICCD)という新たな疾患概念として確立することができた(J Pediatr, 2001).またその後症例を重ねることにより現在まで,胆汁うっ滞,ビタミンK欠乏症,体重増加不良,多種高アミノ酸血症などが臨床像の特徴としてあげられ,また肝組織像では胆汁うっ滞とともに脂肪肝が認められることが明らかとなった.遺伝子変異の検索では,以前は7つの遺伝子変異が見いだされていたが,その後本研究により新たな症例を検討した結果,現在8つの遺伝子変異が発見されている.なお遺伝子変異の種類による臨床像,検査所見の差異は今のところ見いだされていない.治療としては現在栄養療法としての中鎖脂肪酸含有特殊ミルク,蛋白制限,アミノ酸代謝異常用ミルクとともに,脂溶性ビタミンの補充,利胆剤投与などを行っており,これらにより多くの症例は生後12:ヶ月までに改善することが確認できた.
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