研究概要 |
ヒト-マウス異種間移植を利用して、移植片生着促進細胞の同定を試みた。 ヒト骨髄中のCD8分画の分析:骨髄単核球細胞中の20〜30%の陽性。このうち、30〜40%がCD56陽性、15〜20%がCD161陽性であった。CD8+CD56+,CD8+CD56-,CD8+CD161+,CD8+CD161-をそれぞれ生着促進細胞候補分画とした。NOD/SCIDマウスへの移植:300cGy放射線照射マウスへ、全骨髄細胞、造血幹細胞分画、CD8分画、生着促進細胞候補分画、および、生着促進細胞候補分画と造血幹細胞の同時移植を行った。移植後8週の解析では、マウス骨髄に占めるヒト細胞の比率は、全骨髄細胞移植1〜7%、造血幹細胞分画移植3〜10%、CD8分画および生着促進細胞分画移植0%、造血幹細胞分画と生着促進細胞候補分画の同時移植3〜18%であった。同時移植各群間に有意の差は認められなかった。原因のひとつとして移植効率の低さが問題と考え、次に、移植マウスをNOD/SCID β2 microglobulin-/-の新生仔に変更し、同様の実験を試みた。移植効率は、前者に比して改善され90%以上のengraftをみるマウスも観察された。各群間の移植から間がなく、結果は今後に残された。 また、以前から取り組んでいる、好中球減少症における分子細胞学的検討で、若干の知見を得た。小児期後天性好中球減少症の大部分を占める免疫性好中球減少症では、抗体強度と好中球減少期間に相関があることを見出した。先天性好中球減少症である、周期性好中球減少症、Kostmann diseaseでは骨髄成熟段階における幹細胞の異常、細胞内顆粒酵素遺伝子の異常を報告した。
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