研究概要 |
ヒト-マウス異種間移植を利用して、移植片生着促進細胞の同定を試みた。CD8+CD56+,CD8+CD56-,CD8+CD161+,CD8+CD161-をそれぞれ生着促進細胞候補分画とした。NOD/SCIDマウスへの移植:300cGy放射線照射マウスへ、全骨髄細胞、造血幹細胞分画、CD8分画、生着促進細胞候補分画、および、生着促進細胞候補分画と造血幹細胞分画の同時移植を行った。移植後8週の解析では、マウス骨髄に占めるヒト細胞の割合は、全骨髄細胞移植1〜7%、造血幹細胞分画移植3〜10%、CD8分画および生着促進細胞候補分画移植0%、造血幹細胞分画と生着促進細胞候補分画の同時移植3〜18%であった。同時移植各群間に有意の差は認められなかった。原因の一つとして移植効率の低さが問題であると考え、次に、移植マウスをNOD/SCID β2microglobulin-/-の新生仔に変更し同様に実験を試みた。移植効率は前者に比して改善され、90%以上のengraftをみるマウスも観察された。各群間の移植から時間経過が少なく、結果は今後に残された。 また、以前から取り組んでいる、好中球減少症における分子細胞学的検討で若干の知見を得た。免疫性好中球減少症では、抗体強度と好中球減少期間に相関があることを見いだした。周期性好中球減少症、Kostmann diseaseでは骨髄成熟段階における幹細胞の異常、細胞内顆粒酵素遺伝子の異常を報告した。
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