研究概要 |
1)t(1;22(p13;q22)もつ白血病細胞株の樹立 我々は、乳児巨核芽球性白血病症例の末梢血単核球細胞を採取し、培養することでHIS細胞株を樹立することに成功した。細胞株は、植え込み材料と同様に、t(1;22)(p13;q22)の染色体異常をもち、表面型質としてCD34,CD41,CD42を発現しており、巨核芽球性白血病としての性質を保持していた。また、細胞はスロンボポエチン、エリスロポエチンに対し、増殖反応を示すことが明らかとなった。 2)FISH法による22番染色体側切断点の解析 22番染色体上に位置するBACクローンを入手し、HIS細胞株の染色体分裂像上でFISH解析を行った。その結果、1042K10BAC上にt(1;22)の切断点が存在することが明らかになった。 3)FISH法による染色体診断上記BACクローン(1042k10)を用い、t(1;22)型白血病症例にFISHを行ったところ、蛍光シグナルの分断を認め、本法が染色体診断に有用であることが明らかとなった。 4)RT-PCRによる融合遺伝子の検出 t(1;22)(p13;q22)では、OTT-MAL遺伝子が融合遺伝子として発現していることが、報告されたが、HIS細胞株もPCRプライマーを作成し、RT-PCRによる融合遺伝子の検出が可能かどうかを調べた。その結果、OTT-MAL融合遺伝子が、RT-PCRにより検出され、本法が、微小残存白血病細胞の検出に有用であることが判明した。
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