研究概要 |
本邦のみから報告されてきた常染色体劣性遺伝形式を呈するEarly onset cerebellar ataxia with hypoalbuminemia(EOCA-HA)とポルトガルに存在する常染色体劣性遺伝形式を呈するCerebellar ataxia with ocular apraxia(AOA)とは、alleleicな疾患で染色体9p13.3領域に存在する原因遺伝子をaprataxinと銘々した(Moreira et al. Nature Genet 2001;29:189-193)。ヒトaprataxin遺伝子(FLJ20157)は約10kbで、cDNAは2.2kbで7個のエクソンから構成され342個のアミノ酸からなるlong transcriptと、エクソン3がalternative splicingを受け168個のアミノ酸からなるshort transcriptがある。long transcriptはPNKP, histidine traid(HIT),zinc-fingerの3個のdomainから、short transcripは、HIT, zinc-fingerの2個のdomainからなる。aprataxin遺伝子変異は689insTのホモ接合が多く、次に689insTと617C-T、または840delTとのcompound heterozygoteであった(Date et al. Nature Genet 2001;29:184-188)。我々の5家系全て689insTのホモ接合であり(Moreira et al. Nature Genet 2001;29:189-193)。Aprataxin遺伝子の変異は全てHITdomainであり、HITdomainがaprataxinの機能の上で重要であることが推定された。辻らの報告(Date et al. Nature Genet 2001;29:184-88)と併せると、日本人は689insTのホモ接合の保因者がfounderで、この疾患は日本人に特有であることが推定された。
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