研究概要 |
I.本邦FEIAnの報告症例についての詳細な検討 1984年に初めて報告されて以降、これまでに本邦では約100症例が内科、小児科や皮膚科関連の学術雑誌などで報告されている。これらのほぼ全症例についての報告を収集し終えた。それら症例について詳細な検討を加え、その発症要因などに関する特徴を明らかにし、日本環境アレルギー学会と日本小児アレルギー学会で報告した。さらに現在、海外における報告についても同様な検討を実施しつつある。 II.横浜市立全中学生ならびに県立高校生(約15万人)対象のFEIAnに関する疫学調査 横浜市教育委員会の承諾のもとに、横浜市立全中学生(約7万6千人)を対象にしたFEIAnに関するアンケートによる疫学調査を養護教諭の協力のもとに実施した。横浜市立全中学校145校中有効回答は130校(89.7%)で、対象生徒数は76,229名、FEIAnは13名(0.017%)であり、EIAnは24名(0.031%)であった。また、養護教諭のFEIAnについての浸透度は約30%と低く、学校における症例の把握や指導が不十分で不慮の事故の危険性が示唆された。さらに、5症例については誘発試験などを行い、原因食物を同定し、診断を確定した。これらの結果については日本アレルギー学会ならびに日本小児アレルギー学会で報告し、さらに米国アレルギー学会誌にも報告した。 一方、高校生を対象とした調査についても同様に実施し、その調査結果が明らかになった。神奈川県教育委員会の承諾のもとに、神奈川県立高校全生徒を対象にしたFEIAnついてのアンケートによる疫学調査を養護教諭の協力のもとに実施した。神奈川県立全高校166校中有効回答は138校(89.7%)で、対象生徒数は104,701名、FEIAnは9名(0.0086%)であり、EIAnは24名(0.016%)であった。このうち4症例については同様に誘発試験などを実施し、原因食物を同定し、診断を確定した。これらの結果についても日本アレルギー学会に報告し、現在論文を執筆中である。 III. FEIAnの動物モデル作成の試み FEIAnの動物モデルについては、最近他の研究施設から初めて報告がなされた。そこで、この動物モデルが有用であるか否かを現在検討中である。有用と判断された場合には、この動物モデルを用いて病態解明ならびに薬剤の効果判定などを実施する予定である。
|