研究概要 |
TTVが小児期では臨床的に無害なウイルスとして良いかを明らかにする必用がある。我々がこの問題に対する回答として、小児期の非A〜C型の急性肝炎例の一部の原因としてTTV1型の関与することを明らかにしてきた(Tohoku J EXP. Med.,2000,191,233-239)。このことは成人と異なり、小児期の肝障害の原因は多様なウイルスが関与することを示唆した。そこで最近新たにTTVの近縁ウイルスとして発見されたSEN-Vに関しても肝炎との関連性を検討するため、140名の小児を対象として血清中のウイルスの検出の有無をPCR法を用いて検討した。非A〜C型の肝障害を有する児は劇症肝炎例、急性肝炎例、慢性肝炎例の3つのグループに分類し、それぞれコントロール群と比較した。SENVは少なくともA-Hの8タイプに分類可能と報告されているが、その内SENV-D、SENV-Hのみが輸血関連非A-E型肝炎との強い関連性が指摘されており、今回はこの2タイプに限って検討を行った。コントロール群ではSENV-D、SENV-Hはそれぞれ60例中8例(13%)、60例中2例(2%)に検出されたのに対し、劇症肝炎群ではそれぞれ5例中3例(60%)、5例中に0例(0%)、急性肝炎群ではそれぞれ20例中1例(5%)、20例中1例(5%)、慢性肝炎群ではそれぞれ9例中1例(11%)、9例中0例(0%)に認められた。すなわちSENV-Dに関して劇症肝炎群と、コントロール群の間に有意差(P<0.05)が認めが、その他の群の間には有意差は認めなかった。一方、SENV-Hに関しては各群間で有意差は認めなかったられた。すなわち小児期の非A〜C型劇症肝炎例の原因として、SENV-Dの関与が示唆された。
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