新生児期、乳児期のTTV感染経路について、N22及びUTRに設定したプライマーを用いて臍帯血、母乳、唾液のTTVの検出率を調べた結果、感染経路として経胎盤、母乳、唾液によつ感染経路が示唆された。また小児の非A〜C型急性肝炎例で遺伝子型を検討すると、1型の関与が示唆された。 UTR系でTTV陽性母、及び陰性母から生まれた児において経時的にTTV検出の有無を検討すると、前者では10例中9例が生後1.5〜8ヶ月の間でTTVが陽転化したのに対し、後者では陽転化例は無かった。この事はTTV感染例の多くは1歳以内に母親から感染している事を示唆した。その場合、両者で検出されるウイルスの塩基配列の相同性を検討すると、極めて類似する場合と10%以上変異している場合があり、母親のminorな株が感染する頻度が高かった。しかしUTR系で見る限り肝機能異常との関連性は無かった。 そこで最近新たにTTVの近縁ウイルスとして発見されたSEN-Vに関しても肝炎との関連性を検討するため、血清中のSEN-V検出の有無をPCR法を用いて検討した。非A〜C型の肝障害を有する児は劇症肝炎例、急性肝炎例、慢性肝炎例の3つのグループに分類し、それぞれコントロール群と比較した。SENV-D、SENV-Hのみが輸血関連非A-E型肝炎との強い関連性が指摘されており、今回はこの2タイプに限って検討を行った。SENV-Dに関して劇症肝炎群と、コントロール群の間に有意差(P<0.05)が認めが、その他の群の間には有意差は認めなかった。一方、SENV-Hに関しては各群間で有意差は認められなかった。すなわち小児期の非A〜C型劇症肝炎例の原因として、SENV-Dの関与が示唆された。
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