研究概要 |
我々はTie2活性型変異体(R849W)の作成やPCR法を用いてTie2リガンドであるAng 1、2をクローニングしている。これらを用いてTie2シグナルにおけるSTAT3、STAT5の関与およびcell cycleに関与するp21(WAF1)の誘導またvenous malformationsにおけるTie2(R849W)刺激でSTAT1の開与を報告してきた。また、Ang1は無血清で誘導される血管内皮細胞のアポトーシスを抑制することおよびTie-2、AktおよびVEGFR2、Akt-酸化強発現細胞でAktの活性化に関与するセリン473のリン酸化が見られることを観察している。このため、Aktの下流シグナルを検討したところ、生存シグナルに関与すると考えられるBadセリン136のリン酸化を認めた。しかしながら、Epo/Aktの下流で生存シグナルに関与すると考えられるFKHRL1のリン酸化は認められなかった。平成14年度はCaspase9のリン酸化やNFκBの活性化の検討を行う。これに加え、Tie2がTec family細胞内チロシンキナーゼBMXリン酸化することをみいだしたのでこの下流シグナルの検討をさらに進める。 また、我々は一過性強発現の系でTie受容体ファミリー(Tie1,Tie2)およびVEGF受容体ファミリー(Flt1,KDR,Flt4)の中でTie2のみがCblと複合体を形成することを観察している。また、Tie1およびTie2とCblの共発現系においてCblと結合するTie2が早期に細胞表面より消失することを観察している。CblはUbiquitinationにも関与すると考えられており、CblがTie2受容体の分解をとうしてシグナルを修飾している可能性がある。これらについても平成14年度に検討をすすめる。
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