既に作成済みのsteroidogenic acute regulatory protein (StAR)ノックアウトマウス(以下StAR KO)と自然発生ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)遺伝子異常マウス(以下GnRH KO)を交配し、StAR/GnRHダブルノックアウトマウス(以下StAR/GnRH double KO)を作成した。StAR/GnRH double KOおよびStAR KOを内科的治療により長期生存させ、生下時から8週齢(若年成人に相当)まで経時的に屠殺し、精巣および卵巣について以下の組織学的検討を行った。 1.生下時:(1)StAR KOの遺伝的雄の精巣には間質にわずかの脂肪沈着を認めたが、遺伝的雌の卵巣には全く脂肪沈着を認めなかった。(2)StAR/GnRH double KOの遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣には全く脂肪沈着を認めなかった。 2.生下時以降8週齢より前まで:(1)StAR KOの遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣には全く脂肪沈着を認めなかった。(2)StAR/GnRH double KOの遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣には全く脂肪沈着を認めなかった。 3.8週齢:(1)遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣はStAR/GnRH double KOにおいてStAR KOに比して明らかに低形成であり、配偶子形成は不良であった。(2)StAR KOの遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣には多量の脂肪沈着を認めた。(3)StAR/GnRH double KOの遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣には全く脂肪沈着を認めなかった。(4)StAR/GnRH double KOに外因性にゴナドトロピンを投与すると、遺伝的雄の精巣および遺伝的雌の卵巣に脂肪沈着を再現することが可能であった。 以上の成績は、StAR KOの精巣および卵巣における思春期年齢以降の脂肪沈着はゴナドトロピン依存性であることを強く示唆する。
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