研究概要 |
インフォームド・コンセントの得られた川崎病患児15例の小腸粘膜表面より全霊にほぼ共通した好気性菌5種,通性嫌気性菌3種を得た.このうち通性嫌気性菌は,通常の咽頭/後鼻腔,便培養では得られない細菌群であった.これらの培養上清のうち,同一症例のγグロブリン投与前の末梢血単核球に有意な増殖能をもたらすものは,共通の好気性菌2種,通性嫌気性菌2種であった.これらの培養上清を同一患児血清と反応させ,Western blottingにより反応した蛋白成分をlgG抗体を用いて検出した.その結果,全例でγグロブリン投与前の血清で検出されなかった各細菌の産生物に対するlgG抗体が投与後の血清にて検出されていた.以上より,小腸粘膜から検出された細菌の産生物が,患児単核球を増殖させ,何らかの免疫学的活性をもたらしていること,しかもその細菌産生物の産生時期は川崎病急性期であること,γグロブリンによりその中和抗体が供給されたことより,川崎病が治癒を迎えた可能性が大きいことが推測され,これら細菌産生物が川崎病の原因物質であることを強く示唆する結果と考えられた.この細菌産生物は2種類あり,うち1種はN末端法により既知の結合織蛋白と相同性をもつ蛋白であることが同定された.いま一つは,N末端がblockされていることにより,N末端法では同定しえず,MASを用いて同定中である.
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