研究課題/領域番号 |
13670847
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
丸 栄一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80221597)
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研究分担者 |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所・神経薬理, 副参事研究員 (20263262)
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キーワード | 海馬顆粒細胞 / 神経細胞新生 / てんかん発作 / 扁桃核キンドリング / ストレス関連ホルモン / corticotropin-releasing factor(CRF) / BrdU標識法 / CRF-binding protein ligand inhibitor |
研究概要 |
海馬顆粒細胞の新生(neurogenesis)が、てんかん焦点の形成過程において如何なる役割を果たしているかを明らかにするため、以下の2つの実験を行い次の結果を得た。 1.てんかん焦点形成におけるストレス関連ホルモンの役割に関する研究:海馬顆粒細胞の新生は、てんかん発作によるばかりでなく、ストレスによっても著しい影響を受ける。したがって、本実験では、ストレス関連ホルモンの1つであるCRFの作用を検討した。CRF受容体拮抗薬であるα-helical CRF(50μg)の脳室内投与は、扁桃核キンドリング形成に有意な作用を及ぼさないものの、キンドリング完成後の発作持続時間を有意に短縮した。逆に、CRF脳内濃度を上昇させるCRF_<6-33>(25μg)の脳室内投与は、統計学的に有意ではないものの、発作持続時間を延長させる傾向にあった。 2.海馬顆粒細胞の新生に対するストレス関連ホルモンの作用に関する研究:CRFの脳室内投与は、発作を誘発しない薬量(5μg)で、海馬歯状回の顆粒細胞新生を有意に促進した。また、CRF_<6-33>(25μg)の脳室内投与は、統計的に有意ではないものの、顆粒細胞新生を促進する傾向にあった。逆に、α-helical CRF(50μg)の脳室内投与より、てんかん発作による顆粒細胞の新生が抑制された。 以上の結果は、海馬顆粒細胞の新生とてんかん発作発現の両方に対するストレス関連ホルモン(CRF)の促進作用を示している。しかし、本研究ではBrdU標識法のみで海馬顆粒細胞の新生を判定したため、BrdU陽性細胞群の中に神経細胞以外のものが混入している可能性を否定できない。現在、BrdU標識と神経細胞特異抗体染色の二重染色法を用いて顆粒細胞新生の正確な定量を試み、てんかん発作の誘発闘値に対する顆粒細胞新生の影響を検討中である。
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