研究概要 |
鶏卵アレルギーは乳幼児期に好発し、加齢とともに寛解、すなわち、アウトグローしていく。本研究の目的は、鶏卵アレルギー患者を対象として、アウトグローの機序をサトカイン産生の観点から検討することである。 鶏卵アレルギー児の末梢血単核細胞を比重遠心法にて分離、採取した。培養には96穴プラスチックプレートを用いた。最終細胞数を1×10^6個/mlとなるように調整し10%非働化胎児牛血清加RPMI 1640培養液に浮遊した。Ovomucoidを最終濃度として0.1・1000μg/mlの濃度で添加し、37℃、5%、CO2培養器内で7日間培養した。培養終了後、上清を回収した。上清中のIL-4,IFN-γを高感度Immunoassay-kitを用いて測定した。 鶏卵アレルギー児に凍結乾燥卵白抗原経口負荷試験の結果で、患児を非寛解群8例(年令7.5±2.8歳)と寛解群4例(年令12±1.6歳)とに分けた。食物アレルギーがない4例(年令11±5.9歳)を対照とした。 鶏卵アレルギー非寛解群は、ovomucoid刺激によって非刺激時と比べると上清中IL-4は有意に上昇したが、寛解群では有意な上昇を認めなかった。一方、INF-γは寛解群でovomucoid刺激によって有意な上昇をみたが、非寛解群ではみられなかった。以上から、鶏卵アレルギーのアウトグローにはTh1サイトカインであるINF-γ産生の回復が関与している可能性が示唆された。
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