研究概要 |
1,食物アレルギー発症機序の解明 ソバの主要アレルゲンである24kDaのソバタンパク質のIgEエピトープを解明した。 トマト果肉アレルゲンとスギ花粉との間に交叉反応性があることを証明した。 2,低アレルゲン化卵白の開発 低アレルゲン化された加熱脱オポムコイド卵白を2週間から1ヵ月経口摂取してもアトピー性皮膚炎の悪化などの有害事象がみられず、比較的長期に投与しても安全であることを示した。 3,鶏卵アレルギーにおけるアウトグローの機序の解明 鶏卵アレルギーのアウトグローにはTh2/Th1サイトカイン比がTh1優位に正常化することが関与していると唆された。 4,鶏卵アレルギーの寛解誘導療法の開発 加熱脱オボムコイド卵白含有クッキーの連日摂取によって、鶏卵白経口負荷試験が陰性化する率は約50%であった。卵白特異的抗体の中では1gG4抗体の有意な上昇が陰性化群で観察された。以上から、本治療によって誘導される寛解には、特異的IgG4が関与していることが示唆された。陰性化の背景因子としては連日投与前に行った経口負荷試験が陽性となる最終抗原量が陰性化群で有意に高値であったことから、寛解に近づいている患者の方が陰性化しやすいことが示唆された。非陰性化群でも連日摂取後に負荷試験点数が有意に低下(改善)したことから、陰性化は達成できなくても寛解に近づけられることが推測され、これらの症例でもさらに摂取期間を延長することによって寛解達成が期待された。
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