研究分担者 |
山田 茂人 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (20158190)
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 講師 (50228144)
松石 豊次郎 久留米大学, 医学部, 教授 (60157237)
石田 重信 久留米大学, 医学部, 講師 (30248405)
石橋 正俊 久留米大学, 医学部, 助教授 (20168256)
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研究概要 |
平成14年度は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の神経生化学的病態解明を目的に、ADHD37名、高機能自閉性傷害12名、対照群21名と昨年よりも症例数を増やして、1日蓄尿中のβ-phenylethylamine(PEA),3-methoxy-4-hydroxyphenyl glycol(MHPG), homovanillic acid(HVA),5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)を測定した。MHPG, HVA,5-HIAAの値は各群間で有意差はなかった。高機能自閉性障害のMHPGは、少数例では有意差を認めたが、例数を増やしたところ有意差がなくなった。尿中PEAはADHD群で対照群と比べて有意に低値を示した。今年度は、治療薬のmethylphenidateの投与前後でPEAがどう変化するのか、有効群18例、無効群4例での比較を行ったところ、有効例では無効例に比べてPEAが有意に上昇していた(MHPG,HVA,5-HIAAは変化なし)。ADHD児の尿中PEAの低下、methylphenidate有効例でのPEAの上昇を世界で初めて示し、Annals of Neurologyに成果を報告した(Ann Neurol 2002;52:371-374)PEAは中脳黒質線状体系のドパミン神経で合成される微量アミンであり、ドパミン神経伝達において、神経修飾因子として働き、ADHDの病態に重要な役割を果たしている可能性がある。ADHD児でなぜPEA値が低いのか、今後PEAと共に血中MAO-Bやphenylacetic acid, phenylalanineなどの測定を行い、さらなる病態解明が必要である。
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