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2002 年度 実績報告書

糖原病III型の遺伝子変異と機能に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 13670856
研究機関(財)冲中記念成人病研究所

研究代表者

大久保 実  財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (60241238)

キーワード糟原病III型 / グリコーゲン / スプライシング / ハプロタイプ / AGL / グリコーゲン脱分枝酵素 / エスニックグループ
研究概要

糖原病III型は、グリコーゲンの分解に重要な酵素であるグリコーゲン脱分枝酵素(glycogen debranching enzyme)の欠損により、肝臓や筋肉にグリコーゲンが蓄積する常染色体劣性遺伝病である。私どもはこの酵素をコードするAGL遺伝子につき日本人患者の解析を行ってきた。本年度は、日本人とは異なるエスニックグループの患者の遺伝子変異とそのハプロタイプを検討した。
トルコ人患者1、2は、15才と10才の兄弟で、両親はいとこである血族結婚家系の出身である。肝機能異常と酵素活性が欠損していたことから、糖原病III型と診断した。患者の末梢血よりDNAを調製し、AGL遺伝子の35個のエクソン、エクソン-イントロン接合部およびプロモーターの塩基配列を特異的なプライマーを用いてPCR増幅し、直接塩基配列を決定した。同定した塩基置換は、制限酵素多型(RFLP)を利用して確認した。
患者AGL遺伝子には、イントロン7のスプライスドナー部位の+5番目の塩基に点変異(G→A)があった(スプライシング変異IVS7+5G>A)。患者1、2はこの新規な変異のホモ接合体であり、異常なスプライシングが起こることで、酵素活性が失われることが予想された。
一方、前年度の研究により、中国人患者がナンセンス変異R34Xとスプライシング変異IVS32-12A>Gの複合ヘテロ接合体であることを同定したが、IVS32-12A>Gは1996年に私どもが報告した日本人患者で明らかにした変異と同一のものであった。そこで、この変異が日本人と中国人で独立して起こったものか、あるいは二つのエスニックグループが分かれる前から存在する古い変異であるかを調べるために、AGL遺伝子のハプロタイプを検索した。IVS32-12A>Gの存在するAGL遺伝子について、21ヵ所の一塩基多型(SNPs)を調べた結果、日本人と中国人ではハプロタイプが異なっていることが判明した。したがって、このスプライシング変異は独立して起こったものであると考えられた。
以上から、異なるエスニックグループのAGL遺伝子変異は多様であることが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Horinishi A, Okubo M, et al.: "Mutational and haplotype analysis of AGL in patients with glycogen storage disease type III"J.Hum.Genet.. 47. 55-59 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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