1)現在我々が保有しているhuman cystatin A cDNAをGST遺伝子の下流につないだ大腸菌発現ベクターを作製し、合成蛋白を作製した。western blot法によりcystatin Aが発現されていることを確認後、GSTカラムおよびトロンビンにて合成cystatin Aを生成した。 次に、合成cystatin A蛋白をトタンスグルタミネース(宝酒造より購入)によりin vitroで反応、反応産物をSDSページにより検討したところ2から4merのcystatin A産物の形成を認め、cystatin Aがトタンスグルタミネースにより架橋させる確認された。現在、3H-プトレシンと生成cystatin Aを架橋させ、この架橋物をトリプシン処理しHPLCにて分画、架橋部位を同定中である。 2)cystatin Aの遺伝子調節機構を検討するため、cystatin A遺伝子プロモーター領域をCAT遺伝子につないだレポーターベクターと各種MAPK発現ベクターを正常角化細胞に導入し、プロモーター活性を検討した。dominant negative ERK、MEK1、raf-1を導入するとその活性は上昇した。一方、dominant negative JNKを導入すると逆に抑制された。この現象はアデノウイルスベクターを用いて、蛋白レベルでの検討において確認された。免疫組織学的にERKおよびJNKの局在、活性について検討したところ、活性化ERKは基底細胞に、活性化JNKは有棘層上層から顆粒層にかけて認められた。以上の結果からcystatin AはERK、JNKにより発現はそれぞれ抑制、増強され皮膚においての発現はERKおよびJNKの局在の違いにより調節されていると推定した。
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