研究課題/領域番号 |
13670866
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 孝志 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90234830)
|
研究分担者 |
輪千 浩史 星薬科大学, 薬学部, 講師 (50318614)
|
キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / matrix metalloproteinase-9 / アポトーシス / 分化 / 転写因子 / HT-1080細胞 / ケラチノサイト / 線維芽細胞 |
研究概要 |
Matrix metalloproteinase(MMP)-9発現に関わる、我々が新たに発見した転写因子differentiation repressing factor(DRF)-1(仮称、旧称KDF-1)が結合するMMP-9遺伝子プロモーター上のKRE-M9領域の調節により、ケラチノサイト以外にHT-1080細胞も転写発現が制御されることが判明した。また線維芽細胞の核内にも同蛋白質が存在することが確認され、MMP-9、インボルクリン以外の転写にも関与する可能性が示唆された。またDRF-1は、KRE-M9近傍に存在するTPA responsive elementに結合する別の既知の転写因子AP-1蛋白、特にその構成成分であるc-Junと構造的に類似性を有することが判明した。現在、ワンハイブリッド法により見い出された候補がDRF-1であることの確認をトランスフェクトする細胞株や発現ベクター数種について核蛋白質の抽出を行い、検討中である。 また、DRF-1候補蛋白質に対する抗体を用いた検討より核を含めた細胞内の局在を確認した。培養ヒトケラチノサイトを用いて、分化刺激としても知られる高カルシウム濃度(以下高Ca)、TGF-β添加、UVB照射でMMP-9発現誘導を確認した。高CaでのMMP-9誘導は核内DRF-1量の減少による転写活性増強により生じ、少なくとも96時間以内であれば低濃度に戻して核内DRF-1量が改めて増え、転写抑制によりMMP-9分泌が減少することが確認された。また刺激後96時間では、報告されているようなTUNEL染色陽性所見やDNAの断片化は我々のこれまでの検討では得られず、アポトーシスの初期段階にMMP-9発現が関わる可能性が示唆されたが、現在他のアポトーシス関連分子との関係を検討中である。さらにアポトーシス誘導TNF-α刺激により線維芽細胞でも、通常は分泌しないMMP-9の分泌誘導が示された。
|