研究概要 |
MMP-9遺伝子promoter KRE-M9領域に結合するdifferentiatin repressing factor (DRF)-1と、KRE-M9近傍に存在するTRE結合AP-1蛋白のc-Junとの構造的類似性が判明、one-hybrid法から得たDRF-1候補(以下D候補)はスプライシングによりα、βとして存在、D候補遺伝子導入培養293T細胞でKRE-M9結合性の約80kDa核蛋白と細胞質蛋白量が増加した。アポトーシスでのMMP-9発現検討の結果、1、培養ケラチノサイト(以下KC)でD候補β遺伝子導入によりザイモグラフ法でMMP-9発現を抑制した。2、分化誘導高Ca^<2+>刺激KCで、(1)D候補が核から細胞質に移動、MMP-9発現を誘導、(2)再び低Ca^<2+>でD候補が核に移動、MMP-9発現を抑制、(3)核内phospho-c-Jun、DNA断片化、TUNEL染色陽性はこれまで検出されず、培養液soluble Fas ligand濃度も有意な変化を認めなかった。3、炎症やアポトーシス誘導TNF-αとIL-1α、分化誘導TGF-β刺激KCで、(1)MMP-9発現を誘導、(2)D候補の細胞質への移行傾向を認め、(3)phospho-c-JunをTNF-α、IL-1α刺激後核に検出、(4)Luciferase assayよりTNF-α、IL-1αで高Ca^<2+>と同様KRE-M9がMMP-9発現誘導に関わることが判明した。4、RT-PCR法から、APAF-1は以上の刺激KCでこれまで検出されず、TGF-βやTNF-α刺激KCでtissue inhibitor of metalloproteinases (TIMP)-2発現増加を認めた。5.紫外線(UVB)照射KCで、(1)強度依存的にMMP-9とinvolucrinとの発現誘導を認め、(2)phospho-c-Junを核に検出、D候補の細胞質への移行傾向を認め、(3)生細胞数の強度依存的減少、annexin V陽性細胞を認めた。6、培養間葉系HT-1080細胞に加え線維芽細胞でもDRF-1を認め、TNF-αやTGF-β刺激でMMP-9分泌誘導を認めた。7、In situザイモグラフ法で有棘細胞癌の腫瘍浸潤部、異常角化部にゼラチン分解活性を検出、MMP阻害1,10-phenanthrolineで活性阻害された。結論として、早期アポトーシスにMMP-9が関与、この発現をD候補が抑制することが示唆された。
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