研究課題/領域番号 |
13670867
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新海 浤 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90030957)
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研究分担者 |
遠藤 秀治 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50282489)
宇谷 厚志 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (10292707)
籏持 淳 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90172923)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | エーラス・ダンロス / デコリン / SLRP / デルマトポンチン / 遺伝子操作 / コラーゲン線維 / 創傷治癒 |
研究概要 |
コラーゲン線維の形態的形成異常は細胞外マトリックス成分のなかでプロテオグリカンの一種であるsmall leucine rich repeat (SLRP)タンパク質が知られている。デルマタン硫酸鎖を有するデコリン、ルミカン、ファイブロモジュリンを欠如させることにより皮膚のコラーゲン細線維の径に大小のばらつきを来し、張力の低下を招く。当研究ではデコリンと親和性を示す新しい細胞外マトリックス成分であるデルマトポンチンを遺伝子操作により欠損させることにより、コラーゲン線維の形態的変化、臨床的変化を解析した。デルマトポンチン欠損マウスは臨床的な外観の異常は認められないが、皮膚は柔らかく、軽度の過伸展を示した。皮膚の張力試験では正常に比べて80%の低下をみた。創傷治癒も正常と比べて遅延もなく、上皮化も正常と有意差はなかった。正常マウスの創傷周囲の細胞外マトリックス成分の遺伝子発現ではデコリン、デルマトポンチン、ルミカン、フィブロモジュリンの発現はRT-PCR法で認められ、in situ hybridyzation法により同様にそれらの遺伝子発現は確認された。デルマトポンチン欠損マウスの皮膚のコラーゲン量は40%減少していたが、線維芽細胞によるコラーゲン合成量には変化は見いだされなかった。 透過型電子顕微鏡によるデルマトポンチン欠損マウスの皮膚コラーゲン線維の径はばらつきがあり、形態的に不規則で径も150-200ナノメーターと大型であった。創傷治癒のコラーゲン線維の径は真皮上層では35-100ナノメーターの範囲に分布し、デルマトポンチン欠如マウスではやや大型の線維が見られ、深層でデルマトポンチン欠如マウスではばらつきが目立ち(75-225ナノメーター)、異常形態を示すコラーゲン線維が認められた。 以上の結果からコラーゲン線維の形態的変化はコラーゲン分子の凝集にSLRP以外にデルマトポンチンも関与し、エーラス・ダンロス症候群のような先天性結合組織疾患の原因遺伝子となり得ることが判明した。
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