研究概要 |
我々はSTAT6欠損マウスを用いて、接触アレルギーの誘導においてTh2タイプサイトカインであるIL-4,IL-13が重要な役割を果すことを報告した(Yokozeki H et a1.:STA6 is essential in the Induction of contact hypersensitivity. J Exp Med,191(6);995-1004,2000)。また、最近、接触アレルギーのみならずアトピー性皮膚炎のモデルマウスである抗DNP-IgE抗体投与により誘導される遅発型反応においてもSTAT6欠損マウスでは惹起反応が減弱することを明らかにした。つまり、転写調節因子であるSTAT6を抑制することにより接触アレルギー、遅発型アレルギー反応が抑制しうる可能性があることを明らかにした。 接触アレルギー誘導におけるSTAT6 Docoy DNAの抑制効果の検討 今年度、BALB/cマウスにSTAT6 Decoy DNA、を組み込んだリポゾームとコントロールのScramble Decoyを投与後に5%TNCBで経皮感作して惹起後の耳介腫脹反応を経時的に比較検討した。その結果、明らかにSTAT6 Decoy投与群では耳介腫脹反応が1時間後の即時反応、24時間後の遅発反応ともに60%程抑制されていた。皮膚病変部の炎症反応を解析するため、腫脹した耳介の病理組織学的に検討した。STAT6 Decoy投与群では、小円形細胞、好酸球、好中球の浸潤数が減少していた。また、肥満細胞の浸潤数は変化が見られなかったが、STAT6 Decoy投与群では肥満細胞の脱顆粒数が減少していた。今後さらに免疫組織学的に凍結切片、表皮シートを用いて浸潤細胞、γδthy1 DEC,ランゲルハンス細胞、などの炎症細胞およびIL-2,IL4,IL-12,IL-13,IFN-γなどのサイトカインの局在、発現程度を免疫組織化学的で蛋白レベルを,In situ hybridization法にてmRNAレベルを解析する。
|