研究概要 |
尋常性乾癬の病変形成においてCD4^+T細胞が重要な役割を果たすと考えられている。乾癬病変部皮膚および血液中でそインターフェロンγ(IFN-γ)を産生するT1細胞がインターロイキン4(IL-4)を産生するT2細胞に比較して増加していると考えられているが,両者の頻度に差がないとの報告もある。そこでわれわれは尋常性乾癬の末梢血および病変部皮膚におけるTリンパ球のT1/T2バランスを検討した。乾癬患者の血液中で,IL-4産生CD8^+T(Tc2)細胞の頻度が4.8±3.2%対照の健常人と比較して優位に増加していた。T2細胞に特異的なケモカイン受容体CCR4を発現するCD8^+T細胞も乾癬患者末梢血中で健常人より有意に増加していた。さらにTc2細胞の頻度およびTc2細胞/Tc1細胞比は乾癬の重症度の指標であるpsoriasis area and severity indexと有意な正の相関を示した。それに対して乾癬患者血液中のIFN-γ産生CD4^+T(Th1)細胞,およびIFN-γ産生CD8^+T(Tc1)細胞の頻度は健常人における頻度と差がなかった。T1細胞に特異的とされるケモカイン受容体CXCR3の発現も検討したが同様の結果が得られた。乾癬患者末梢血から分離したCD8^+T細胞は健常人由来の細胞より多くのIL-4を産生したが,IFN-γの産生は乾癬患者と健常人で差はなかった。病変部皮膚の免疫組織学検討により乾癬患者の表皮および真皮にCXCR3^+CD8^+T細胞と同様の頻度のCCR4^+CD8^+T細胞の浸潤が認められた。以上の結果から,尋常性乾癬患者の末梢血中にTc2細胞の頻度が増加していること,およびTc2細胞と乾癬の炎症との関連性が示唆された。
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