研究概要 |
アレルギー性皮膚炎に対して食事制限がおよぼす効果、および組織の酸化的障害について検討した。 アトピー性皮膚炎自然発症マウスであるNC/NgAマウスを自由摂食群と40%食餌制限群の2群に分け、6週から15週まで観察した。食餌制限群は自由摂食群に比べ、皮膚炎の発症時期の遅延や炎症症状の進展抑制がみられた。また、ICRマウスを自由摂食群、24時間絶食群、48時間絶食群に分け、各々に2,4-dinitroflourobenzen (DNFB)を耳介に塗布することによりアレルギー性接触性皮膚炎を惹起させた。自由摂食群に比べ、24時間絶食群、さらには48時間絶食群において、耳介における炎症抑制がみられ、この結果は、耳介組織像をコンピューター画像解析により、半定量的解析を行った結果によっても確認された。次に、ICRマウスを自由摂食群と24時間摂食群に分けて各々にアレルギー性接触性皮膚炎を耳介に惹起させ、耳介組織切片に対し、酸化的ストレスの指標である8-hydroxydeoxyguanosine (8-OHdG)抗体による免疫組織染色を行った。その結果、自由摂食群に比べ、24時間絶食群においては、8-OHdGの抑制像が観察された。 これらの結果より、40%食餌制限や短期間の絶食といった適度な食事制限は、アレルギー性皮膚炎に対し炎症抑制効果があることが示された。また、アレルギー炎症下における食餌制限の酸化的障害抑制作用の大部分は、食餌制限による炎症抑制作用の結果であることが示唆された。
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