抗DFS70抗体は当初、米国人の間質性膀胱炎患者中の抗核抗体の一種として発見されたが、その後の解析で同抗体は各種膠原病患者には殆ど検出されず、アトピー性皮膚炎(AD)で最も頻度的に多く、3割近くのAD患者に検出されることが判明している。今回の研究で新たに得られた知見は以下の通りである。 1、抗DFS70抗体の定量的検出法として高度に精製したDFS70大腸菌由来リコンビナント蛋白を用いたELISAを確立した。感度、特異度とも現在市販されている抗ENA抗体の測定キットと同等の性能を有したので、臨床応用が十分可能であると考えられる。 2、上記ELISAで陽性になる血清のうち一部にリコンビナント蛋白を用いたイムノブロット法では反応性を認めず、HeLa細胞のDFS70とはイムノブロット法で反応する抗DFS70抗体が存在することが判明した。 3、脱毛症においても二割近くの患者においても同抗体が検出され、興味深いことにそのうちの二割の血清はDFS70の大腸菌リコンビナント蛋白を用いたイムノブロット法では反応性を認めないものの、in vitro transcription & translation産物を用いた免疫沈降法およびHeLa細胞のDFS70とはイムノブロット法で反応することが明らかになった。 4、2、3の結果より、一部の抗DFS70抗体は、抗原アミノ酸の一次構造に規定されない蛋白の修飾もしくは何らかの立体構造が関与するエピトープを優先的に認識することが示唆された。
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