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2002 年度 実績報告書

ケラチン線維と核膜との結合に介存する新規ケラチン結合蛋白の同定と解析

研究課題

研究課題/領域番号 13670883
研究機関京都大学

研究代表者

高橋 健造  京都大学, 医学研究科, 講師 (80291425)

キーワードケラチン / 核膜 / 酵母シーハイブリッド
研究概要

前年度に引き続き、オクリビンと名付けた新規のタイプIケラチン結合蛋白の、細胞内の局在に中心に解析を続けた。オクリビンは、酵母細胞の核内において蛋白質間の相互作用を検出する手法であるツーハイブリッド法を用い、ケラチン蛋白(K14,K16)の頭部領域と相互作用するケラチン結合蛋白として単離された。I型ケラチンとオクリビンとの結合は、酵母細胞核内のみならず、大腸菌内で合成した融合蛋白を用いたpull-down実験でも確認された。
さらにオクリビンの中央部分の領域の蛋白に相当する合成ペプチドをラットの皮下に免疫することでオクリビン蛋白に特異的な血清を作成した。得られた抗血清は、COS細胞に強制発現させたオクリビン蛋白を特異的に認識することから、オクリビン抗体として以降の実験に用いた。
培養表皮角化細胞において、オクリビン蛋白は核膜外膜から核膜周囲にかけて局在し、核膜近傍においてケラチン線維と共存する像がコンフォーカル顕微鏡や免疫電子顕微鏡撮影による観察で確認された。さらに角化細胞が細胞分裂後に核膜の構築を熟成する過程を、核膜の裏打ち蛋白であるラミンの染色性と比較し観察した。細胞分裂より時間がたちラミンの染色性により占える核膜の成熟度が進むにつれ、オクリビンは核膜周辺の局在性を高めケラチンとの共存を強める傾向にある。
上記の性格を有する核膜表面に存在しケラチン線維と核膜との結合に介在する新規オクリビン蛋白の単離・同定は、核膜を介したケラチン線維の機能・シグナル伝達という全く新しい突破口となる貴重な知見である。さらに遠山氏連圏状粃糠疹のような、ケラチン線維と核膜との結合が完全に消失した病理所見を呈する皮膚疾患の原因究明の手がかりにもなると考えた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Eriko Torii et al.: "Expression of prostaglandin E2 receptor subtypes in the mouse hair follicles"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 290(2). 696-700 (2002)

  • [文献書誌] 高橋 健造: "角化機構概論-ケラチン"最新皮膚科学大系. 第7巻. 2-15 (2002)

  • [文献書誌] 高橋 健造 他: "創傷治癒の理論とメカニズム"Progress in Medicine. 21(8). 1809-1813 (2002)

  • [文献書誌] 高橋 健造: "ケラチン遺伝子の構造と進化"医学のあゆみ. 199(10). 687-691 (2001)

  • [文献書誌] 高橋 健造: "Cre-loxPを用いた表皮特異的な遺伝子組み換えマウスの応用例"医学のあゆみ. 199(10). 717-718 (2001)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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