研究課題/領域番号 |
13670884
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
浅田 秀夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60252681)
|
研究分担者 |
村主 節雄 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00032897)
戸倉 新樹 産業医科大学, 医学部, 教授 (00172156)
宮川 幸子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30094626)
|
キーワード | 蚊刺過敏症 / EBウイルス / 再活性化 / NK細胞 / CD4+T細胞 / プリックテスト |
研究概要 |
EBウイルス(EBV)が感染したNK細胞増殖症では、蚊刺に対して、しばしば局所の激しい反応と、発熱・リンパ節腫張・肝脾腫などの全身反応を呈する蚊刺過敏症と呼ばれる症状が見られるとの報告が集積してきている。これまでに我々は、蚊刺過敏症の患者6症例について、患者のCD4+T細胞が、ヒトスジシマカの唾液腺由来の抗原に対して特異的に強い増殖反応を示すことと、さらにこの蚊唾液腺抗原刺激を受けたCD4+T細胞とNK細胞とを混合培養すると、NK細胞中に潜伏しているEBVが再活性化されることを見出した。今年度は、このin vitroの研究においてみられた蚊唾液腺抗原特異的なT細胞の反応とEBVの再活性化現象が、実際の生体内においてもみられるのかどうかについて検討した。ヒトスジシマカ、シナハマダラカ、ステファンハマダラカ、アカイエカ、コガタアカイエカのそれぞれの唾液腺から抽出した抗原を用いてプリックテストを試みた結果、ヒトスジシマカの唾液腺由来の抗原に対して特異的に強い皮膚の炎症反応をみとめ、これはin vitroにおける研究結果と一致していた。さらに蚊刺の局所においてEBVの再活性化関連遺伝子の発現をみとめ、また蚊刺に伴う全身症状の発現に一致して患者血漿中のEBV-DNAレベルが上昇することが判明した。以上の結果から、蚊刺によって引き起こされる局所の炎症に伴いEBVの再活性化が誘発され、このEBVの再活性化が蚊刺過敏症でみられる伝染性単核球症類似の全身症状の発現に深く関わっている可能性が示唆された。
|