研究概要 |
ADAMファミリーはdisintegrinとmetalloproteaseドメインを有する膜貫通型蛋白であり、現在までに30種が報告されている。ADAMにはcleavage作用、detach作用、attach作用が認められており、表皮角化細胞における分化、増殖と細胞の移動に重要な役割をはたしていると考えられるが、詳細な検討はなされていない。本研究では、(1)表皮角化細胞の増殖・移動・分化におけるADAMの関与、(2)ADAMのmetalloproteaseドメインを破壊したドミナントネガテイブ効果を持つアデノウイルスベクターを作成し、in vitroでの増殖・移動と分化刺激時の角化細胞に与える影響、(3)基底細胞のhemidesmosomeに着目し、その基底膜からの解離に対する影響、(4)in vivoでの創傷治癒モデル動物にアデノウイルスベクターを用いてADAMファミリーの創傷治癒課程、特に表皮再生における働きを明らかにすることを目的とする。 平成13年度はadenovirus vectorの作製と、RT-PCR解析を行った。 Dominant negative ADAM9,ADAM12,constitutive active ADAM9,ADAM12のconstructを作製し、cosmid cassetteに組込み、293細胞にて相同組換えを起こさせそれぞれのadenovirus vectorを作製した。大量培養後、塩化セシウム密度勾配法にて精製し、透析した後、超低温槽にて保存した。 DAMファミリーのヒト表皮角化細胞培養系での発現。 1)増殖・分化刺激時の正常ヒト表皮角化細胞のADAM mRNAと蛋白質の誘導機序の検討。 ADAM mRNAの31種あるADAMのうち、プロテアーゼ活性を有することが予想される19種類についてreal time PCR用にそれぞれ特異的なTaqman probeを作製した。正常ヒト表皮角化細胞を無血清培養法で培養し、サブコンフルエントの状態に達した後にEGFを濃度を変えて添加し0、1、3、6、12、24、48時間後に細胞よりtotal RNAを抽出し、ADAMファミリーのmRNAの誘導の有無をReal time PCR法で定量的に検討した。角化細胞においてはADAM9がメインに発現していた。
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