研究課題/領域番号 |
13670891
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
BAE SangJae 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (90325647)
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研究分担者 |
片山 一朗 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80191980)
清水 和宏 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (80170968)
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キーワード | Atopic dermatitis / Eotaxin / Fibroblast / Substance P / Histamine / TGF β |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎の病態には皮膚バリアー機能の障害やIgE抗体の過剰産生などの免疫異常に加え、ストレスや発汗異常などの神経内分泌的な調節異常がその発症、伸展に大きな関与をしている可能性が示されている。我々は以前皮膚肥満細胞からのヒスタミン遊離、炎症細胞の遊走、サイトカインの作用増強など多様な生物活性を持っているサブスタンスP(SP)とヒスタミンがTh2炎症の重要なメディエーターであるエオタキシン産生を増強することを報告した。またアトピー性皮膚炎患者と健常人の皮膚線維芽細胞を用いての実験では、アトピー性皮膚炎由来の線維芽細胞が健常人由来細胞より高いエオタキシン産生力を持っていることと、IL4、SP、ヒスタミンなどアレルギー性メディエーターに対する感受性が高い可能性を発表した。 平成14年度 前年度においては、健常人よりアトピー性皮膚炎由来の線維芽細胞がIL4誘導性エオタキシン産生における反応が強いことを報告したが、この結果に基づいて、今年はその機序を明らかにすることを目的とした。 ウェスタンブロティングの結果より、SPとヒスタミンは各々独自、あるいは共通する機序でシグナル伝達因子を動かす可能性が示唆された。さらにSPは様々な神経伝達物質(CGRP, SPなど)を分解する酵素として知られているneutral endopeptidase(NEP)を誘導することも明らかにした。以上よりアトピー性皮膚炎の炎症には角化細胞のみならず線維芽細胞もエオタキシン産生を介して好酸球浸潤などに深く関与している可能性があると考えられている。また予備実験においては、SPを分解する酵素として知られているNEPを誘導するSPアナログの存在も確認しており、今後、ストレスによるTh2性アレルギ-炎症の増幅機序の解析と、治療薬としての応用の可能性が考えられた。
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