研究課題/領域番号 |
13670894
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
神崎 保 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80118801)
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研究分担者 |
四本 信一 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (70244241)
金蔵 拓郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70177509)
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キーワード | Basigin / 表皮細胞の分化 / 上皮系皮膚腫瘍 |
研究概要 |
平成13年度にはベイシジンの発現がヒトの表皮系皮膚腫瘍である有棘細胞癌の分化度と相関することを明らかにした。ベイシジンは細胞の分化以外にも接着・遊走などとの関連が報告されていることに注目し、平成14年度にはベイシジンと有棘細胞癌の転移について検討した。臨床的に転移の確認された14例の有棘細胞癌について腫瘍細胞におけるベイシジンの発現を免疫組織化学的に観察した。陽性に染色された細胞数が5%以下を陰性、5〜50%を陽性、50%以上を強陽性と判定した。正常皮膚の有棘細胞と転移のないリンパ節ではベイシジンは発現していなかった。一方、転移のあった14例中4例は強陽性、8例は陽性であった。この結果はベイシジンの発現と有棘細胞癌の転移に相関があることを示している。ベイシジンの蛋白発現量は転移巣で増加していることが、腫瘍組織から抽出した蛋白を用いたウェスタンブロット法にて確認された。そこでベイシジンの発現と、癌の転移に重要なマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を比較観察したところ有棘細胞癌ではMMP-1、MMP-2、MMP-3、MT1-MMPが発現しており、更に興味ある所見として有棘細胞癌周囲の線維芽細胞も上記4種のMMPを発現していた。ベイシジンの発現とMMPの発現には正の相関が見られた。これらの結果は、ベイシジンは有棘細胞癌の細胞膜に発現し、腫瘍細胞及び腫瘍巣周囲の線維芽細胞におけるMMPの発現を誘導することによって転移に関与している可能性が示唆するものである。
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