1)平成13年度の研究において抗けいれん剤(カルバマゼピン)によるDrug-induced hypersensitivity syndrome (DIHS)患者群とカルバマゼピン内服したことのない健常人群より採取された末梢血リンパ球の分画の検索をフローサイトメトリーにより行った。この結果、DIHS患者群の発症初期のリンパ球分画ではCD56分画のCD56^<bright>が、健常人群に比較して、著明に減少していた。また、CD19+B細胞も著明に減少していることが明らかになり、これらの変化がhuman herpesvirus-6 (HHV-6)の再活性化に関与している可能性が示唆された。 2)平成14年度の研究ではDIHS患者の末梢血リンパ球を用いてウイルス再活性化の関与する薬剤アレルギーにおける新たなin vitro検査法の確立へつなげたいと考えた。DIHS患者では薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)が発症初期には陰性であるが臨床症状回復後に陽性となり、1年後でも陽性反応が維持され、発症初期のB細胞の低下と関連が明らかになった。DIHS患者では薬剤添加により、T細胞の増殖だけでなく、IgMの産生を促すことが明らかになった。さらに、DIHS患者ではNK細胞は回復後もCD122(IL-15Rβ)発現が著明に低下しており、IL-15による活性化を受けにくい群であることが判明した。このNK細胞の異常が代償性のCD8の活性化、さらに薬疹の発症への関連が明らかになった。 今後、T細胞、B細胞やNK細胞の分画の活性化を増殖反応のみならず、CD69発現、blast化の程度で測定することにより、特異性の高い優れた検査法になりうると思われる。
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