本年度の研究において、接触皮膚炎の慢性化に伴うサイトカイン反応のタイプ2へのシフトに関し、γδT細胞が、抑制的に働くことを示すいくつかの結果を得た。 1.γδ欠損B6マウス(B6δ^<-1->)と、コントロール(B6δ^<+1->)を用いて、ハプテン(OX)を繰り返し塗布し、局所のサイトカイン反応パターンがどのようにシフトするかを検討した。B6δ^<+1->では急性期にはタイプ1優位で、慢性化するに従いタイプ2にシフトしたが、B6δ^<-1->では早期にタイプ2反応へのシフトが生じた。 2.耳翼腫脹反応のパターンも、B6δ^<-1->では早期にlate phase reaction(LPR)へとシフトした。 3.局所の肥満細胞は、B6δ^<-1->においてより早期に集積する傾向が認められた。 4.慢性化に伴い病変部皮膚に常在しているDETCは次第に失われていくが、酵素組織化学では30日頃には殆ど局所皮膚に検出出来ない程になった。 5.B6δ^<-1->ではB6δ^<+1->と比べ、明らかに局所に好中球の浸潤が顕著であった。この好中球の浸潤が組織破壊をもたらし、B6δ^<-1->おける組織障害の遷延化の大きな原因と考えられた。 6.B6δ^<-1->ではB6δ^<+1->と比べ、繰り返しハプテン塗布によるIgE値の上昇が認められた。 以上の結果から、B6δ^<-1->ではDETCの欠損の結果、好中球やT細胞の著明な浸潤をきたし、それが強い組織障害をもたらす。それが慢性化に伴うタイプ2へのシフトに貢献していると考えられた。
|