研究概要 |
T細胞の皮膚へのhomingには血管内皮細胞上に発現するE-selectinとT細胞上に発現するCLAのbindingが重要と考えられてきたが、CLAはfucosyltransferase-VII(FucT-VII)により発現が誘導される分子ではあるものの、それ自身がE-selecitnとの結合に関与するepitopeではないことが明らかになっている。我々は正常末梢血においてFucT-VII・CLAの発現には解離があり、FucT-VII+CLA-,FucT-VII+CLA+,FucT-VI-CLA+の3者が様々な割合で存在することを明らかにした。 アトピー性皮膚炎(AD)では末梢血中のCLA陽性細胞が著明に増加していることが知られている。そこで、重症AD患者5名を対象として末梢血CD4+T細胞におけるFucT-VII, CLAの発現につき健常人と比較検討した。健常人では末梢血CD4+T細胞のFucT-VII, CLAの発現はFucT-VII+CLA-;3.2%, FucT-VII+CLA+;4.2%, FucT-VI-CLA+;6.2%とFucT-VI-CLA+T細胞が最も多く、さらにこのFucT-VII^-CLA^+T細胞は既に皮膚への遊走能を失った細胞でFucT-VII+CLA+T細胞がE-selectinと最もbindingし易いことを確認した。一方、AD末梢血CD4+T細胞はFucT-VII+CLA-;1.1%,FucT-VII+CLA+;11%,FucT-VI-CLA+;7.3%とFucT-VII+CLA+T細胞が著増していた。ADではsoluble E-selectinが末梢血中に増加し病勢と相関していることを考えると、この増加はFucT-VII+CLA+T細胞の皮膚への遊走をblockしていると考えられた。
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