免疫学的機序に基づいて発症する肉芽腫の形成機序を明らかにするために、MDPと抗原結合アガロース粒子の投与により、抗原感作マウスに皮膚肉芽腫を形成し、その反応に関わる免疫細胞とサイトカインの特性を検討した。まず、DNPにて感作したマウスの背部皮膚にMDP+Freund's adjuvantを投与し、同部にDNP結合アガロース粒子を皮内注射し皮膚肉芽腫を誘導したところ、肉眼的に顕著な皮膚変化は認められなかった。しかし、組織学的には巨細胞を含む肉芽腫反応が観察された。この反応性はマウスの種によって異なっていた。次ぎに肉芽腫を構成する細胞成分を明らかにするために、リンパ球および単球・マクロファージ系細胞の表面マーカーに対する抗体で免疫染色すると、CD3^+細胞が肉芽腫周囲と軽度肉芽腫内に散在し、CD4^+細胞とCD8^+細胞はほぼ同等に分布していた。一方、単球系マーカーの検討では、CD14^+細胞が肉芽腫を構成していたが、組織マクロファージ特異的MMGL(macrophage endogenous calcium-type lectin)^+細胞は肉芽腫内には観察されなかった。なお、接着分子CD54の発現は病変内に顕著であった。次ぎに皮膚肉芽腫の誘導に関与するT細胞亜分画をサイトカイン産生の点から検討すると、IFN-γ^+細胞がIL-4^+細胞よりも優位であったため、誘導された肉芽腫反応はTh1反応であることが示唆された。最後に、所属リンパ節細胞のin vitro巨細胞誘導能を検討したが、細胞に対して種々の刺激因子を試みたものの、現在のところ巨細胞の有為な誘導は認められていない。
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