研究課題/領域番号 |
13670906
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
秀毛 範至 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50261417)
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研究分担者 |
油野 民雄 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30019963)
大崎 能伸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30191935)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ポルフィリン誘導体 / ATN-10 / 薬物動態 / P388 |
研究概要 |
ヒト血液中におけるTc-99m-DTPA-ポルフィリン誘導体(ATN-10)の局在を検討した結果、血球への移行率は6%程度で、残りの94%は血漿中に存在した。次に、ゲル濾過HPLCカラムを用いて、血漿放射能の溶出分画を検討した。血漿蛋白は5分画(1:βリポ蛋白、マクログロブリン2:ハプトグロビン、3:α1リポ蛋白、ハプトグロビン、4:免疫グロブリンG,5:アルブミン)に分けられ、回収された放射能の55%はDTPAのピークに存在した。ATN-10と考えられる残りの放射能のうち、47%はATN-10のピークに溶出されたが、53%は、蛋白のピークに一致して溶出され、それぞれの分画の放射能の割合は、6、7、7、9、24%であった。In vitroでATN-10の腫瘍細胞親和性をP388白血病細胞株を用いて検討した。P388とATN-10との親和性は、平衡定数(Ka)で6.2x10^2であり、アルブミンなどの血漿成分との親和性と同レベルであった。また、P388、1細胞あたりに結合する最大結合ATN-10分子数は、3.1x10^9であった。血漿中では、P388とATN-10の結合は、PBS中の30%に抑制され、蛋白未結合のATN-10がP388との結合に関与することが示唆された。ヒトにおける体内動態を3例の健常ボランティアを用いて検討した。Tc-99m ATN10を静注後、体内動態を検討した。体内動態は、非線形性を示し、主な分布臓器は、肝、骨髄、腎、膀胱、腸管であった。血漿のHPLC分析の結果ATN-10は、種々の血漿成分のピークに溶出され、特定の血漿成分との結合は認められなかった。これらのことから、ATN-10は、種々の血漿成分と飽和性に結合し、血漿成分と結合したATN-10は、腫瘍細胞との結合に関与しないか、あるいは結合しにくいことが示唆された。また、ヒトの体内分布は、非線形性を示し、血漿蛋白のみならず肝などの主な代謝臓器にも飽和性に摂取されることが示された。
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