本大学病院に設置されているトリプレット・エネルギー4MV、10MV及び15MVエックス線を発生するリニアック装置を用いて研究を行った。コンボルーション法による線量計算に必要な基本データは種々あるが、平成13年度では、X線スペクトルの取得に重点を置いた。X線は連続スペクトルであるので、人体、楔、補償フィルターなどを通過するとき、線質変化を起こす。このため、X線スペクトルの取得は非常に重要である。X線スペクトルの取得に関して、次の理論的並びに実験的研究を行った。 1.媒体厚の関数として表した透過X線強度データに基づいて、X線スペクトルを求める計算ソフトを開発した。 2.アクリル製ビルドアップキャップを被せた電離箱を用いて、各種媒体(アルミ、アクリル及び水等価物質)の厚さの関数として測定した透過X線強度データに基づいて、ライナックX線のスペクトルをビーム中心軸からの距離の関数で求めた。 3.上記で得られたX線スペクトルを用いて、鉛の媒体を通過する際のX線強度を計し、これを実測と比較し、得られたX線スペクトル精度を確かめた。 4.計算されたX線スペクトルに基づいて、水中での減弱係数をビーム中心軸からの距離及び深さの関数で数式化する(本年度中の課題)。 5.ビーム中心軸からの距離の関数でもって、水中での零照射野TMR(組織最高線量比)を関数化する(本年度中の課題)。
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