研究概要 |
ポジトロンC-T(PET)は陽電子放出核種の存在部位を断層表示する装置で、各種トレーサーを用い生体の代謝を画像表示することができ為腫瘍の生理学的特性には糖要求性があり、これを利用して腫瘍の診断には主として、糖代謝薬剤Fluorine-18-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose(FDG)が使われる。このFDG-PET腫瘍画壕は各種の癌腫診断に利用されているが胃癌、特に転移を有する進行胃癌の進展度診断への応用の報告はなく、今回の研究ではFDG-PET腫瘍画像の進行胃癌進展度診断に用いることができないかを主として検討した。PET931(7mm幅で7断面同時断層、主に上腹部のみの画像を収集)で20例、SET2400W(3.3mm幅66断面向時断層全身用装置)で22例の進行・再発胃癌のFDC-PET像を収集しvisual analysisを行った。sensitivity・specificity・accuracyは、PET931で46.9%,79.3%,61.8%、SET2400Wで71.2%・74.4%・72.7%だった。部位別に見ると、原発巣・肝転移・リンパ節転移・肺転移では診断精度は高かったが、癌性腹膜炎・腹水・癌牲胸膜炎・骨転移の検出力は極めて低かった。SET2400Wで検索した症例中未治療例19例で、原発巣におけるFDGの集積性を高・中化型群と低分化・signt cell型群で比較したところ、前者の方がFDG高集積を示した。これは後者にびまん型が前者に腫瘤形成型が多いためと解釈された。 また、分子標的薬の効果判定にPETが利用出来ないか基礎的検討も平行して進めたが結果を出すには至らなかった。
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