研究概要 |
ワークステーション上に、モンテカルロツールコードGEANTを使用して、患者のCTデータに基づいたボクセル型(3次元)患者微細構造を、2mm×2mm×10mmボクセルの集合体としてシミュレーションコードに構築した。各ボクセルに対して、粒子レベルシミュレーションに必要な有効原子番号、有効原子質量、有効密度を、CT値から換算して割り当てた。CT値換算には、ファントムから得られたデータを関数化する方法をとった。実メモリー(256MB)の制限により、ボクセル数は50×50×7個を限度としている。現在、メモリー増設作業(1GB増設)を進行させている。 新施設のガントリー装置ノズル内の照射野形成装置(第1、第2散乱体、拡大ブラッグピーク形成装置、レンジ調整器、線量モニター、多葉型コリメータ)を、シミュレーションコードに構築した。水ファントムをアイソセンター位置に構築し、70MeV,155MeV,200MeVの陽子ビームを第1散乱体で実際のビーム条件に合わせて発生し、装置内の粒子飛跡をフルシミュレーションし、線量分布を比較した。実測分布と計算分布の間で、ブラッグ曲線分布のピークとプラトウ部との比に多少差異が見られ、調整の必要性を検討している。 ブロードビーム法により治療計画された頭部腫瘍に対する陽子線照射のシミュレーションを実施した。患者構造体の直前における粒子の幾何学的及び運動学的分布を各線種毎に求め、計算時間を短縮させるために応用することを検討する。全ボクセルが水の場合と一様水ファントムの場合との比較を含めた線量分布の詳細比較を継続する。また、2光子事象のシミュレーションコード開発及びその実験を実施していく予定。
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